「運動したいと思ってはいるけれど外出が面倒…」
「簡単に自分の部屋で運動できたらいいな」
「SNSで話題のウォールピラティスってなに?」
運動をしない生活が続くと、筋力や柔軟性が低下します。運動不足は不調の原因になることも。そこで気になるのが、話題の「ウォールピラティス」です。ウォールピラティスは特別な器具はいらず、 壁さえあれば自宅でも始められるピラティスのこと。壁が支えになるので「体が硬い」「運動が苦手」な人にこそ、ぴったりのトレーニングです。
この記事では、 ウォールピラティスの魅力、 通常のピラティスとの違い、 初心者にうれしいメリットやおすすめポーズをわかりやすく紹介します。
ウォールピラティスとは?=壁を使うピラティス

ウォール(Wall)は英語で「壁」の意味。ウォールピラティスとは、壁を使ったピラティスのこと。
ウォールピラティスは壁をバランスの補助として使うことで弱い部位や筋肉への負担を軽減しながら鍛えることができます。初心者向けのピラティスとして最近注目を集めています。
ウォールピラティスとマットピラティス・マシンピラティスの違い
ピラティスには、ウォールピラティス以外に2つの種類があります。それがマットピラティスとマシンピラティスです。最近話題のウォールピラティスも実は壁を使うピラティスとして昔からあるものになります
手軽にできるマットピラティス
マットピラティスは、ヨガマットの上で行う自重トレーニング。マットさえあれば自宅でも始められ、場所を選ばない手軽さが魅力です。
- 自宅で手軽に始められる
- 自重トレーニングで自然に筋力がつく
- 自分のペースでできる
マットピラティスでは、プロップス(小道具)を活用することもあります。 ボールやリング、バンドなどを使うことで、姿勢のサポートになりフォームが安定しやすくなるためです。
いずれにせよ、基本は自分の身体一つで運動できる手軽さがマットピラティスの特徴です。
本格的に取り組みたいマシンピラティス
マシンピラティスは、専用の器具(リフォーマー、チェアー、バレルなど)を使って行うエクササイズ。初心者からアスリートなどの上級者まで幅広い層に取り入れられています。
- 負荷の調整がしやすい
- 正しいフォームを維持しやすい
- 姿勢をサポートする
- インストラクターの指導により、ケガのリスクを抑えられる
マシンピラティスは専用のマシンを使うトレーニング法。正しいフォームや姿勢を維持しやすくなるため、狙った筋肉に効率よく負荷をかけられます。
しかし、自宅に器具をそろえるのは高価で場所も取るため現実的ではありません。初心者がマシンを正しく使いこなすには、ある程度の知識やサポートも必要です。マシンピラティスはスタジオでインストラクターの指導を受けながら行う点が特徴です。
マットとマシンの良いとこどりウォールピラティス
ウォールピラティスは、マットピラティスの手軽さと、マシンピラティスのサポート性を兼ね備えた、“良いとこどり”のエクササイズ。特別な器具は必要なく、壁とマットがあれば自宅で気軽にスタートできます。
- 壁のサポートでフォームが安定
- 姿勢や体のゆがみに気づきやすい
- 軽い負荷でトレーニングできる
- 自宅でも手軽にできる
壁のサポートで正しい姿勢をキープ。壁を支点にすることで、自分だけでは伸ばしにくい部位にもアプローチ可能。足の高さを高くする、壁から離れるなどで負荷の調整ができます。
ウォールピラティスに必要なのはマットと壁だけ。思い立ったら今すぐ始めることができます。崩れやすい体勢や、自分では正しいか分かりにくいポーズが、壁を使うことで安定しやすい点がウォールピラティスの特徴です。
ウォールピラティスは体力に自信がない方にもおすすめ
ウォールピラティスは、バランスを取るのが苦手な方や筋力に自信がない方でも取り組みやすいエクササイズ。
- 体を動かすことに苦手意識がある方
- 運動からしばらく離れていた方
- ジムやスタジオに通うのが不安な方
- マットピラティスのポーズが不安定で続かなかった方
- まずは自宅でゆるく始めてみたい方
正しい姿勢を意識しながら全身を効率よく鍛えられるのが、ウォールピラティスの魅力。バランス感覚や柔軟性もアップし、しなやかで美しい体を目指せます。
ウォールピラティスは体幹と柔軟性が高まる

ウォールピラティスは、体への負担を抑えながら、しっかりと体幹や柔軟性を鍛えることができるトレーニング法です。
ウォールピラティスで体幹を鍛える
体幹とは、手足を除いた胴体部分のこと。お腹・背中・腰・骨盤まわりなど、体の中心を支える大切な部分です。体幹を安定させるには、インナーマッスル(深層筋)の働きが欠かせません。
インナーマッスルは、姿勢を支えたり、関節を安定させたりと、体をスムーズに動かすための重要な筋肉。見た目にはわかりにくいですが、年齢とともに衰えやすいため、40代以降は意識して鍛えることがポイントです。
ウォールピラティスで姿勢改善
ウォールピラティスは、壁を支えにすることで正しい姿勢をキープできます。 姿勢のゆがみの多くは、日常生活で身についた体のクセが原因です。体のクセには以下のようなものがあります。
- 片側に重心をかけて立つ
- 毎回同じ足で足を組む
- いつも同じ肩にバッグをかける
無意識の習慣が、体の左右差や骨盤のゆがみにつながります。ウォールピラティスなら、壁が正しい位置のガイドに。体のゆがみに自然と気づきやすくなります。
一度、壁に背中をつけてまっすぐ立ってみてください。 それだけでも、普段の姿勢との違いに気づくはず。姿勢を支えるインナーマッスル(体幹)を鍛えることで、無理に力を入れなくても、自然に美しい姿勢が保てます。
ウォールピラティスで柔軟性の向上
ウォールピラティスは、壁を使うことで深層の筋肉にまでしっかりアプローチが可能。ストレッチだけでは届かない部分にも働きかけるので、柔軟性が高まります。
柔軟性を高めるには、ただ筋肉を「伸ばす」だけでなく、「縮める」動きも取り入れることがポイントです。 血流が促進され、こわばりがほぐれると柔軟性が高まります。
とくに効果が期待できる部位は以下のとおりです。
- ハムストリング(太ももの裏)
- 胸筋や肩まわり
- ふくらはぎ
- 股関節まわり
筋肉をしっかり伸ばすことで、関節の可動域が広がり体の動きがスムーズになります。柔軟性が良いとケガの予防につながるだけでなく、肩こりや腰痛など、日常の体の不調の軽減も期待できます。
ウォールピラティスを始めるときの注意点

ウォールピラティスは初心者にも取り組みやすいトレーニング法。 安全に続けるためにいくつかのポイントを押さえましょう。
正しい姿勢を意識する
壁があることで姿勢はとりやすくなりますが、自己流のまま行うと効果が薄れたり、体を痛める原因に。 動画や書籍などで正しいポーズを確認しましょう。鏡などを活用しながら、常に姿勢をチェックすると正しいポーズを意識できます。
ウォールピラティスに取り組むうえで、特に注意したいのが反り腰や猫背の方です。反り腰や猫背のままポーズを行うと、腰や背中に負担がかかりやすくなるため注意が必要です。
- 姿勢が美しく伸びた「ニュートラルポジション」を意識する
- 壁に後頭部、肩甲骨、お尻、かかとをつけて立つ
- 壁と背中の間に手のひら1枚が入るくらいの隙間がある
反り腰や猫背が気になる方は、腹筋と背筋が弱い場合が多く、姿勢を支えにくい傾向にあります。腹筋背筋を意識的に使うポーズ(ハンドレッドパンピング)を取り入れると、姿勢の改善につながります。
初心者はまず10分から
まずは1日10分程度から始めて、少しずつ慣れていくのがおすすめ。 ウォールピラティスは短時間でも正しいフォームで行えばしっかり効果を感じられます。動画を見ながら、自分に合ったポーズか無理なく取り組めそうかを確認してから行いましょう。
- 痛みを感じずにできる
- 呼吸を止めることなくできる
- 筋肉が痙攣する場合は注意
痛みや不快感がある場合は、そのポーズは避けましょう。無意識に息を止めてしまうのは、体に負荷がかかっているサインです。筋肉の痙攣がある時は筋肉に過度な負荷がかかっている可能性があります。一度ポーズを中断して、休みを入れながら行いましょう。
同じ部位ばかりを鍛えるのではなく、体全体を使うようにいろいろポーズを取り入れることで体のバランスが整います。
壁がめくれる、汚れる
ウォールピラティスでは壁に体を預けるため、壁紙がめくれたり黒ずんだりすることがあります。白い壁紙は汚れが目立ちやすいため、あらかじめ保護対策をしておくのがおすすめです。
ホームセンターやネットなどで販売されている「貼ってはがせる保護シート」などを貼っておくと壁を汚さず、めくれの防止に。立てかけるタイプのマットやバスタオルを足の部分にかけるなどの方法もあります。
壁が滑る
ウォールピラティスでは、壁に手や足を付けた状態でポーズをとることが多いため、壁の材質によっては滑りやすく、安定感に欠けることも。ツルツルとした表面の壁では、手足が滑ってバランスを崩す可能性もあるため、対策をしておくと安心です。
滑り止めの靴下を履く。下に厚みのあるマットを敷く。万が一バランスを崩したときの衝撃を和らげます。
ウォールピラティスはお家でできる!簡単なポーズ5選

ウォールピラティスは、壁さえあれば自宅でも気軽に始められます。初心者でも自宅でできる、体の気になる部分に効く5つのポーズをご紹介します。
始める前に呼吸法を知っておきましょう。ピラティスの呼吸法は空気をしっかり吸い込み、肺を左右と前後に広げるように意識します。鼻から吸い、口から吐くことを基本とします。
ウォールシット|太もも・お尻・体幹を同時に鍛える

壁に背中をつけて、イスに座るような姿勢で静止するポーズです。太ももの前側(大腿四頭筋)やお尻、体幹がバランスよく鍛えられます。
やり方
・膝は90度に曲げ、膝がつま先より前に出ないようにする
・壁に背中全体をつけて、姿勢をキープ
無理のない範囲で10〜20秒キープして、徐々に時間を伸ばしましょう。
ウォールプランク|体全体のバランスと体幹強化

通常のプランクよりも負荷が軽く、壁を使うことでフォームが安定します。 全身の筋肉をバランスよく使いながら、姿勢の軸を整えます。
やり方
・両手を肩の高さで壁につけ、つま先を壁から少し離した位置に立つ
・体をまっすぐに保ち、肩・腰・かかとが一直線になるように意識
・10〜30秒キープ
お腹に力を入れながら行うと、インナーマッスルにも効きます。足と壁の距離が離れるほど負荷が強くなります。
ハンドレッドパンピング|呼吸でお腹を引き締める

仰向けになって腕を上下に動かしながら呼吸する、ピラティスの代表的なエクササイズ。
腹筋を使いながら呼吸することで、体幹の安定性がアップします。
やり方
・壁に足を上げて膝を軽く曲げる(背中は床につける)
・両手を伸ばして床から少し浮かせ、上下に小さく動かす(パンピング)
・できたら頭を持ち上げる
呼吸に集中しながら行うと、腹筋が内側からじわっと鍛えられます。頭を持ち上げる高さで負荷の強さを変えられます。
ヒップリフト|お尻と腰まわりを引き締める

寝転んだ状態でお尻を持ち上げる動き。 お尻の筋肉(大臀筋)と腰まわりの引き締めに効果的です。
やり方
・仰向けになり、両足を壁につけて膝を90度に曲げる
・お尻をゆっくり持ち上げて、肩から膝まで一直線に
・息を吐きながら持ち上げ、吸いながら下ろす。10回目安
腰が反りすぎないように注意して行いましょう。足の高さが高いほど負荷が強くなります。
股関節ワイパー|骨盤まわりの可動域アップ

股関節を左右にゆらすことで、骨盤や股関節の柔軟性が高まります。腰まわりの凝りを感じている方におすすめです。
やり方
・仰向けになり、膝を曲げて壁に足を付ける
・両ひざを左右交互に倒すようにパタパタ動かす
・左右10回ずつを目安に
どのポーズも、壁があることでフォームが安定しやすく、ほどよく負荷がかかります。1日10分でも続けることで、体の変化を感じられるようになります。
ウォールピラティスのよくある質問
ウォールピラティスは産後いつごろから始めてもいいですか?
A. 一般的には産後6〜8週間以降、医師の許可が出てから始めるのが安心です(1ヶ月検診で問題がないこと)。出産による骨盤のゆるみや筋力低下を考慮し、無理のない範囲から少しずつ取り組むことをおすすめします。
60歳以上ですが、ウォールピラティスはできますか?
A. はい、できます。ウォールピラティスは壁を支えにするため、体への負担が少なく、運動が苦手な方や年齢を重ねた方にも適しています。体力維持や健康のためにもおすすめです。
ウォールピラティスを始めていつごろから効果を実感できますか?
A. 週に2〜3回のペースで継続すると、1〜2か月程度で姿勢や体の動かしやすさに変化を感じる方が多いです。
ウォールピラティス まとめ

ウォールピラティスは、体の硬さや運動への苦手意識がある方にこそ適したエクササイズです。 壁が体を支えてくれるため、姿勢を安定させやすく、普段は伸ばしにくい部位にもアプローチしやすくなります。
自宅で気軽に始められる点も、忙しい方にとっては嬉しいポイントです。ウォールピラティスに慣れてきた方や、「自宅ではなかなか続かない」「フォームに自信がない」と感じている方は、教室に通うことも選択肢のひとつです。
インストラクターのサポートを受けることで、正しい動きを学べるだけでなく、自分では気づきにくいクセや改善点を的確に指導してもらえます。 声かけや励ましによって、やる気を保ちやすくなるのも大きなメリットです。
また、少人数制のレッスンでは、周囲の参加者と励まし合いながら取り組めるため、「一人では続かない」と感じていた方でも、楽しく習慣化しやすくなります。
ウォールピラティスは、今すぐにでも始められるエクササイズです。まずは自宅で、できそうなポーズから気軽に取り組んでみてください。